式の値の範囲
不等式のきまり
各辺に同じ数を足し引きするとき
パン太先生
まずは、不等式のきまりについて学びましょう。一つ目は、不等式の各辺から同じ数を足しても引いても大小関係は変わらないことです。
うさこ
いまいちピンときませんね。
パン太先生
例えば、\(3<x<6\) の不等式があります。その各辺から同じ数を足したり引いたりしてみましょう。
\(3<x<6\) … ①
\(3-2<x-2<6-2\) … ②
\(3+3<x+3<6+3\) … ③
パン太先生
①の式から \(x\) を適当にとって、\(x=5\) としましょう。すると②と③の式はどうなりますか?
うさこ
②の式は、\(1<3<4\) で②の式は、\(6<8<9\) になります。
パン太先生
これで、不等式の各辺から同じ数を足したり引いたりしても大小関係が変わらないことが確認できました。
💡不等式の各辺から同じ数を足したり引いたりしても、大小関係は変わらない。
移項とは
パン太先生
次は、移項についてです。移項とは、一方の辺の項を他の辺に移すことをいいます。移項をすることで不等式を簡単にしたり、不等式を解いたりすることができます。不等式の解法については こちら で説明しています。
うさこ
移項するとき、そのまま他の辺に移してもいいんですか?
パン太先生
それはいけません。大小関係を保つために、移項するときは符号を変えて移しましょう。例を見てみましょう。
例)\(2x+2<4\)
👉左辺の \(2\) を右辺に移項する
\(2x<4-2\)
パン太先生
このように、移項するときは符号を変えます。
うさこ
どうして符号を変えないといけないんですか?
パン太先生
さっき、各辺から同じ数を足しても引いても大小関係は変わらないと学習しましたね。今の例は、左辺から \(2\) を引いたのと同じことですよね。だから右辺からも \(2\) を引かないといけないんです。
💡移項とは、一方の辺の項を、符号を変えて他の辺に移すこと。
各辺に同じ数を掛けるとき
パン太先生
次は、不等式の各辺に同じ数を掛ける場合です。これには注意が必要です。正の数を掛ける場合は不等号はそのままで、負の数を掛ける場合は不等号の向きを変えないといけません。
うさこ
なぜ負の数を掛けると不等号の向きを変えるんですか?
パン太先生
では次の例を参考にして大小関係が逆になることを確認しましょう。
\(2<4\) 👈各辺に \(-1\) を掛ける
\(-1×2<-1×4\)
\(-2<-4\)
\(-1×2<-1×4\)
\(-2<-4\)
パン太先生
\(-4\) が \(-2\) より大きくなってしまいましたね。
うさこ
どうしてこうなってしまったんですか?
パン太先生
\(-\) を掛けるということは両辺を移行して入れ換えたのと同じ意味になるからです。先ほどの \(2<4\) の両辺を移行して入れ換えてみてください。
うさこ
移項したら符号が変わるから、\(-4<-2\) になります。
パン太先生
数字が入れ替わったということは不等号が逆になっていますよね。
💡不等式の各辺に、負の数を掛けると不等号の向きが変わる。
練習問題
パン太先生
それでは、ここまでの学習を踏まえて練習問題に取り組んでみましょう。
練習問題
練習問題 \(1<x<3\) , \(-3<y<2\) である2つの数 \(x\) , \(y\) について、次の式のとりうる値の範囲を求めよ。
⑴ \(x-2\)
⑵ \(-3y\)
⑶ \(x-y\)
⑷ \(-2x+3y\)
解答・解説
⑴ \(-1<x-2<1\) 答
\(1<x<3\) の各辺から \(2\) を引く
⑵ \(-6<-3y<9\) 答
\(-3<y<2\) の各辺に \(-3\) を掛ける
※符号の向きに注意
⑶ \(-1<x-y<6\) 答
\(-3<y<2\) の各辺に \(-1\) を掛けて \(-2<-y<3\)
\(1<x<3\) , \(-2<-y<3\) より
\(1-2<x-y<3+3\)
よって、\(-1<x-y<6\)
⑷ \(-15<-2x+3y<4\)
\(1<x<3\) の各辺に \(-2\) を掛けて \(-6<-2x<-2\)
\(-3<y<2\) の各辺に \(3\) を掛けて \(-9<3y<6\)
したがって、\(-6-9<-2x+3y<-2+6\)
よって、\(-15<-2x+3y<4\)