対称式と基本対称式

対称式とは

パン太先生
今回は対称式について学習しましょう。まずは対称式とはどういうものかを見ていきます。
💡対称式とは
 \(x+y\) , \(x^2+y^2\) のように \(x\) , \(y\) を入れかえても変わらない式
うさこ
入れ換えるってどういうことですか?
パン太先生
例えば \(x^2+y^2\)\(x\)\(y\) を入れ換えると \(y^2+x^2\) になります。\(x\)\(y\) に、\(y\)\(x\) にすると理解してもいいでしょう。\(x^2+y^2\)\(y^2+x^2\) は同じ式ですね。
うさこ
入れ換えても変わらない式が対称式なんですね!
パン太先生
そうですね、対称式の中でも特に \(x+y\) , \(xy\) を基本対称式といいます。
💡対称式の中でも特に \(x+y\) , \(xy\)基本対称式という。
うさこ
対称式と基本対称式の違いはなんですか?

パン太先生
\(x^2+y^2\) , \(x^3+y^3\) などの対称式は、必ず基本対称式である \(x+y\) , \(xy\) で表すことがでます。基本対称式は対称式の中の基本の形です。
💡対称式は、必ず基本対称式で表すことができる
パン太先生
それでは対称式の具体的な計算方法について学習しましょう。
 

対称式と基本対称式の計算

パン太先生
対称式では、\(x\)\(y\) が与えられ、\(x^2+y^2\) を求めるといった問題が出題されます。
うさこ
\(x\)\(y\) をそのまま代入したほうがはやくないですか?
パン太先生
\(x\)\(y\) が整数のように簡単であればよいですが、複雑な式が与えられていると代入よりも対称式の性質を使った方が良い場合があります。次の例を見てください。

 

例)  \(x=\)\(\frac {1}{\sqrt {3}+\sqrt {2}}\) , \(y=\)\(\frac {1}{\sqrt {3}-\sqrt {2}}\)    のとき

        \(x^2+y^2\) , \(x^3+y^3\) を求めよ。

 

パン太先生
代入でやると2乗はまだしも3乗もやるとなると大変ではありませんか?
うさこ
確かに大変です…
パン太先生
対称式の性質を使うと計算が楽になりますので試してみましょう。手順は以下の通りです。
\(x\) , \(y\) を簡単にする(有理化など)

② 基本対称式 \(x+y\) , \(xy\) を求める

③ 求める式を基本対称式で表す

④ 代入して計算する

パン太先生
手順に従って計算をしてみましょう。
うさこ
まず①で有理化ができますね。
パン太先生
有理化が分からない人は こちら を参考にしてください。
 
 
① 有理化
 
      \(x=\)\(\frac {1}{\sqrt {3}+\sqrt {2}}\)

          \(=\)\(\frac {\sqrt {3}-\sqrt {2}}{(\sqrt {3}+\sqrt {2})(\sqrt {3}-\sqrt {2})}\)

          \(=\)\(\frac {\sqrt {3}-\sqrt {2}}{3-2}\)

          \(=\sqrt {3}-\sqrt {2}\)

      \(y=\)\(\frac {1}{\sqrt {3}-\sqrt {2}}\)

          \(=\)\(\frac {\sqrt {3}+\sqrt {2}}{(\sqrt {3}-\sqrt {2})(\sqrt {3}+\sqrt {2})}\)

          \(=\)\(\frac {\sqrt {3}+\sqrt {2}}{3-2}\)

          \(=\sqrt {3}+\sqrt {2}\)
 
 
パン太先生
①の有理化ができましたね。
うさこ
次は②の \(x+y\) , \(xy\) を求めます!
 
② \(x+y\) , \(xy\) を求める
 
      \(x=\sqrt {3}-\sqrt {2}\) , \(y=\sqrt {3}+\sqrt {2}\)

      \(x+y=(\sqrt {3}-\sqrt {2})+(\sqrt {3}+\sqrt {2})\)
              \(=2\sqrt {3}\)

      \(xy=(\sqrt {3}-\sqrt {2})(\sqrt {3}+\sqrt {2})\)
           \(=3-2\)
           \(=1\)

 
 
うさこ
式がきれいになりました。③なんですけど、どうやって対称式を基本対称式で表すんですか?
パン太先生
難しいことはありませんよ。展開の公式を使えばいいのです。今回使う公式はこちらです。
  \((a+b)^2=a^2+2ab+b^2\)
  \((a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3\)
パン太先生
展開公式を忘れてしまった人は こちら を参考にしてください。
うさこ
この公式をどうしたらいいんですか?
パン太先生
公式の右辺に \(a^2+b^2\)\(a^3+b^3\) があるのが分かりますか?
うさこ
ありました!
パン太先生
余分な項を左辺に移行することで \(a^2+b^2\)\(a^3+b^3\) が得られます。
 
 
③ 基本対称式で表す
 
 
      \((a+b)^2=a^2+2ab+b^2\)
      \((a+b)^2-2ab=a^2+b^2\)
      \(a^2+b^2=(a+b)^2-2ab\)
 
      \((a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3\)
      \((a+b)^3-3a^2b-3ab^2=a^3+b^3\)
      \(a^3+b^3=(a+b)^3-3a^2b-3ab^2\)
       \(a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)\)
 
 
パン太先生
これで対称式を基本対称式になおせました。
うさこ
式を変形するだけでできてしまうんですね!
パン太先生
はい、あとは④の基本対称式に代入して計算するだけになります。
 
 
④ 代入して計算
 
 
      \(x+y=2\sqrt {3}\)  ,  \(xy=1\)
 
      \(x^2+y^2=(x+y)^2-2xy\) 
                 \(=(2\sqrt {3})^2-2\cdot 1\)
                 \(=12-2\)
                 \(=10\)
 
      \(x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)\)
                 \(=(2\sqrt {3})^3-3\cdot 1\cdot 2\sqrt {3}\)
                 \(=24\sqrt {3}-6\sqrt {3}\)
                 \(=18\sqrt {3}\)
 
 
パン太先生
手順通りに計算を行えば難しくはないので、頑張って練習してみましょう。
 
 

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