分母の有理化(分母がA+Bの形)

はじめに

パン太先生
今回学習する内容は、分母が A+B の形の有理化です。有理化の基本事項については こちら のページで説明していますので参考にしてください。

 

分母が A+B の形の有理化

パン太先生
\(\frac {1}{\sqrt {2}}\) は、分母と分子に \(\sqrt {2}\) を掛けることで有理化ができました。しかし、分母が \(\sqrt {2}+\sqrt {3}\) のような A+B の形だと工夫が必要になります。
うさこ
分母が A+B の形でも分母に根号が残らないように計算しないといけないんですか?。
パン太先生
はい、分母に根号を残さないように計算するのが有理化でしたね。分母が A+B の有理化には次の公式が使えます。
 \((a+b)(a-b)=a^2-b^2\)
うさこ
これは展開公式にありました!
パン太先生
以前学習しましたね。この公式を見ると右辺には2乗しかないのが確認できます。根号は2乗すると外れますから、右辺には根号が残らないはずです。例で試してみましょう。
 
 
例1)  \(\frac {1}{\sqrt {2}+\sqrt {3}}\)

          \(=\)\(\frac {\sqrt {2}-\sqrt {3}}{(\sqrt {2}+\sqrt {3})(\sqrt {2}-\sqrt {3})}\)

          \(=\)\(\frac {\sqrt {2}-\sqrt {3}}{2-3}\)

          \(=\)\(\frac {\sqrt {2}-\sqrt {3}}{-1}\)

          \(=\sqrt {3}-\sqrt {2}\)
 
 
うさこ
どんな計算をしたかよくわかりませんが、分母の根号がなくなりました。
パン太先生
さっきの公式の左辺を見ましょう。 \((a+b)(a-b)\) となっていますね。例1では分母が \((a+b)(a-b)\) の形になるように分母と分子に \(\sqrt {2}-\sqrt {3}\) を掛けています。
うさこ
さっきの公式の左辺を使っていたんですね!
パン太先生
分母が A+B の形のときは次の決まりを使いましょう。
・分母が \(A+B\) のとき
         分母と分子に \(A-B\) を掛ける
・分母が \(A-B\) のとき
         分母と分子に \(A+B\) を掛ける
パン太先生
分母と分子の両方に掛けることに気をつけましょう。それでは例題です。
 
 
例2)  \(\frac {2}{2-\sqrt {3}}\)
 
 
パン太先生
決まりに従って、分母と分子に \(2+\sqrt {3}\) を掛けましょう。
 
 
        \(\frac {2}{2-\sqrt {3}}\)

        \(=\)\(\frac {2(2+\sqrt {3})}{(2-\sqrt {3})(2+\sqrt {3})}\)
 
 
パン太先生
展開公式を用いて計算を行うと分母の根号がなくなります。
 
 
        \(\frac {2(2+\sqrt {3})}{(2-\sqrt {3})(2+\sqrt {3})}\)

        \(=\)\(\frac {4+2\sqrt {3}}{ {2}^{2}-(\sqrt {3})^{2}}\)

        \(=\)\(\frac {4+2\sqrt {3}}{4-3}\)

        \(=\)\(4+2\sqrt {3}\)
 
 
うさこ
できました!
 

分母が A+B+C のとき

パン太先生
応用として分母が A+B+C である問題もあります。この問題では置き換えを使って計算します。有理化のやり方自体は変わりません。次の例を見ましょう。
 
 
例3)  \(\frac {1}{1+\sqrt {2}+\sqrt {3}}\)
 
 
うさこ
このままだと公式を使うのは難しそうですね。
パン太先生
このような問題では分母の一部分を A などに置き換えます。
 
 
        \(1+\sqrt {2}=A\) とおくと、

        \(\frac {1}{1+\sqrt {2}+\sqrt {3}}\)

        \(=\)\(\frac {1}{A+\sqrt {3}}\)
 
 
パン太先生
これで例2と同様に計算ができます。
 
 
        \(\frac {1}{A+\sqrt {3}}\)

        \(=\)\(\frac {A-\sqrt {3}}{(A+\sqrt {3})(A-\sqrt {3})}\)

        \(=\)\(\frac {A-\sqrt {3}}{A^{2}-3}\)
 
パン太先生
有理化ができたら A をもとに戻して計算しましょう。
 
 
        \(\frac {A-\sqrt {3}}{A^{2}-3}\)

        \(=\)\(\frac {1+\sqrt {2}-\sqrt {3}}{(1+\sqrt {2})^{2}-3}\)

        \(=\)\(\frac {1+\sqrt {2}-\sqrt {3}}{2\sqrt {2}}\)
 
 
パン太先生
最後にもう一度有理化します。
 
 
        \(\frac {1+\sqrt {2}-\sqrt {3}}{2\sqrt {2}}\)

        \(=\)\(\frac {(1+\sqrt {2}-\sqrt {3})\sqrt {2}}{2\sqrt {2}\sqrt {2}}\)

        \(=\)\(\frac {2+\sqrt {2}-\sqrt {6}}{4}\)
 
 
パン太先生
置き換えについて詳しく知りたい人は こちら を参考にしてください。

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