複雑な式の因数分解
次数の低い文字がある場合
パン太先生
式が複雑で、次数の1番低い文字がある場合はその文字について整理します。詳しくは 次数の低い文字について整理 のページで説明しています。
文字の次数が同じとき
パン太先生
文字の次数が同じ場合は、1つの文字に着目しましょう。
文字の次数が同じときは、1つの文字に着目し、降べきの順に整理する
パン太先生
むやみに整理してもなかなか突破口は見つかりません。上記の方法を意識して実際に計算してみましょう。次の例を見てください。
例1) \(x^2+y^2+2xy+3x+3y+2\)
うさこ
次数が \(x\) も \(y\) も2次です…
パン太先生
この場合はどちらか一つの文字について降べきの順に整理します。今回は \(x\) について降べきの順に整理しましょう。
\(x^2+y^2+2xy+3x+3y+2\)
\(=x^2+(2y+3)x+y^2+3y+2\)
\(=x^2+(2y+3)x+(y+1)(y+2)\)
\(=x^2+(2y+3)x+y^2+3y+2\)
\(=x^2+(2y+3)x+(y+1)(y+2)\)
パン太先生
ここまでできたら次の公式の出番です。公式の使い方が分からない人は こちら を参考にしてください。
\(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\)
\(x^2+(2y+3)x+(y+1)(y+2)\)
\(=\{x+(y+1)\}\{x+(y+2)\}\)
\(=(x+y+1)(x+y+2)\)
\(=\{x+(y+1)\}\{x+(y+2)\}\)
\(=(x+y+1)(x+y+2)\)
うさこ
無事に因数分解ができました。
パン太先生
ではもっと複雑な式を因数分解してみましょう。
例2) \(x(y^2-z^2)+y(z^2-x^2)+z(x^2-y^2)\)
うさこ
どの文字についても2次ですね。
パン太先生
そうですね、やはりこの場合も1つの文字に着目して、降べきの順に整理しましょう。
うさこ
\(x\) について整理してみます。
\(x(y^2-z^2)+y(z^2-x^2)+z(x^2-y^2)\)
\(=x(y^2-z^2)+yz^2-yx^2+zx^2-zy^2\)
\(=(z-y)x^2+(y^2-z^2)x+yz^2-zy^2\)
\(=x(y^2-z^2)+yz^2-yx^2+zx^2-zy^2\)
\(=(z-y)x^2+(y^2-z^2)x+yz^2-zy^2\)
パン太先生
整理できましたね。\(x\) の係数と、定数項が因数分解できますね。
\((z-y)x^2+(y^2-z^2)x+yz^2-zy^2\)
\(=(z-y)x^2+(y+z)(y-z)x+yz(z-y)\)
\(=(z-y)x^2+(y+z)(y-z)x+yz(z-y)\)
パン太先生
\(x\) の係数に \(-\) を付けると共通部分が現れることが分かりますか?
\((z-y)x^2+(y+z)(y-z)x+yz(z-y)\)
\(=(z-y)x^2-(y+z)(z-y)x+yz(z-y)\)
\(=(z-y)x^2-(y+z)(z-y)x+yz(z-y)\)
パン太先生
共通部分の \(z-y\) ができました。次はこれをくくります。
\((z-y)x^2-(y+z)(z-y)x+yz(z-y)\)
\(=(z-y)\{{x}^{2}-(y+z)+yz\}\)
\(=(z-y)\{{x}^{2}-(y+z)+yz\}\)
パン太先生
そして残りを因数分解して完了です。
\((z-y)\{{x}^{2}-(y+z)+yz\}\)
\(=(z-y)(x-y)(x-z)\)
\(=(x-y)(y-z)(z-x)\)
\(=(z-y)(x-y)(x-z)\)
\(=(x-y)(y-z)(z-x)\)
うさこ
最後の一行は何をしたんですか?
パン太先生
最後の一行では \(-\)(マイナス) を2回かけました。そうすることで見た目をきれいに整えることができます。式の最終的な形を輪環の順といいます。